訓練_2

火の光が彼女の足元から立ち上がり、すぐに消えていった。

これは23回目の練習だった。

また失敗した。

アンナの額には汗が浮かんできた。手の甲で拭うと、熱気が立ち込め、シューッという音が聞こえた。

彼女は少しも休まず、次の練習を始めた。魔女の衣装は丁寧に畳まれて隣に置かれている。もし彼女が練習する前に、どうしてもそうしてほしいと頼まなかったら、その服はとっくに炎の中で灰になっていただろう。

幸い、第四王子のローランにとって、予備の衣装を用意することは難しくないことだ。彼はティールに侍女たちから即座に集めた長衣を一樽分も持ってこさせた。

24回目の練習でようやく進展が見られ、炎は足元からではなく、掌の上に直接現れた。彼女は慎重に腕を上げ、指先まで移動させようとしたが、炎は揺らめいた後、突然腕に燃え移り、袖から長衣全体を焼き尽くした。

アンナは炎を消し、無表情で焦げた衣の半分を引きちぎり、樽の中から新しい服を探し始めた。

こういう時、ローランは視線をそらし、別の場所を見つめるようにしていた。しかし、その子本人は、全く気にしていないようだ。

実は、ローランが断固と断らなかったら、彼女はおそらく全裸で練習していただろう。しかしそうなると、ローランは正常に観察できなくなる。裸の少女を冷静に見つめることなど到底難しいことだ。しかも彼女が炎となった姿には、何か独特の魅力を持っている。

ローランは首を振り、雑念を振り払った。現状では、その力を習得するのは容易なことではないようだ。彼がアンナに設定した現段階の目標は、掌や指先から炎を放ち、衣服を焼かず、かつ十分な高温を保ち、池の中の生鉄を溶かせるようになることだ。

30回目の練習が失敗した後、ローランは彼女を止めた。

「少し休もう」

アンナは呆然とローランを見つめ、反応しなかった。

ローランは仕方なく近寄り、少女の手を取って椅子まで導き、強引に座らせた。

「もう疲れているだろう。疲れた時は休むべきだ。無理する必要はない、俺たちにはまだ十分な時間がある」彼は彼女の汗ばんだ額を拭きながら説明した。「まずはお茶にしよう」

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ローランは灰色城王国の貴族たちには、午後のお茶を嗜む習慣がないことを知っている。この世界の生産力はあまりにも乏しいから、人々は贅沢な食事を楽しむ余裕などなかった。三食すら普及していない世界では、四食など論外だ。暇を持て余す若い貴族たちは、この時間になると大抵酒場か賭場に集まっている。

習慣がないなら作ればいい。お菓子なら用意できるし、お茶がなければビールで代用すればいい。なにしろ、辺境の小さな町に行くことを知った第四王子は、自分の侍女、使用人、料理人まで一緒に連れてきていた。

そうして城の裏庭の簡易な木造の東屋で、最初のお茶会が開かれた。

アンナは並べられた美しいお菓子を見て、自分の目を疑った。ただの食べ物なのに、なぜこんなにも美しく作れるのだろう？

彼女はお菓子の具体的な名前は知らないが、純白の外観と鮮やかな赤い果実の組み合わせだけで食欲をそそられた。しかもお菓子の周りには模様が巧妙に施されており、彼女の世界観を大きく変えてしまった。

ローランはアンナの戸惑った表情を得意げに見ていた。ただのストロベリークリームケーキじゃないか、田舎娘をそんなに驚かせるとは。しかもこのイチゴは砂糖漬けだから、新鮮な味わいではないのに。

食べることよりも面白いのは、魔女の表情を観察することだ。ローランは彼女が慎重にケーキを口に運び、青い瞳がほとんど輝きを放ち、髪を揺らす様子を見ながら、まるでグルメアニメを見ているような錯覚を覚えた。

光らない料理は良い料理じゃない！

まあ、このようなキャラクター育成の感じも悪くない。

そうしてアンナの練習を見守り、彼女と午後のお茶を楽しむことがローランの日課となった。政務に関しては、彼が関与しなくてもバルロフが整然と処理してくれた。

三日後、バルロフは辺境町の各種資料を整理してローランの事務室に届けた。これは以前なら考えられないことだ。第四王子がこれほど膨大な報告書を読もうとするほど、忍耐力の強い人ではなかったからだ。

実は、今でも彼にはそんな忍耐力はない。ローランは二行読んだだけで目が回りそうになり、バルロフに直接言った。「読んで聞かせてくれ」

大臣助手の報告を一時間かけて聞いた後、彼は不自然な点に気付いた。「なぜ辺境町の冬季の税収と貿易がすべてゼロなんだ？」

冬は気温が低く、収穫が減るのは理解できる。しかしゼロというのはどういうことだ？この地の人々は冬眠でもするのか？

バルロフは二度咳払いをして答えた。「殿下、お忘れですか？冬季は邪魔の月ですよ。辺境町には防衛能力がないため、すべての住民も長歌要塞に避難しなければなりません。ですが、ご安心ください。殿下の安全は最優先事項ですので」

「邪魔の月」？ローランは思い出してみたが、確かにそういう言葉があった。これまでの彼は怪物の伝説や邪悪な魔女など、全く気にかけていなかった。未開の世界のでたらめだと思っていた。しかし今となっては、邪悪かどうかは別として、魔女は確実に存在する。では…他の広く伝わる怪物の伝説は？

宮廷で受けた授業で、歴史教師は邪魔の月について詳しく説明していた。毎年冬の初雪が降った後、太陽が暗くなり輝きを失い、竜脊椎山脈の地獄の扉がその時に開くのだという。

地獄からの邪悪な気配が生き物を侵蝕し、全てを悪魔の手下に変えてしまう。一部の動物は強大な邪獣へと変異し、人類に襲いかかる。そして魔女もほとんどこの季節に生まれ、彼女たちの力は普段よりもはるかに強くなる。

「見たことがあるのか？地獄の扉を」ローランは尋ねた。

「殿下、一般人に見えるはずがございません！」バルロフは首を振り続けた。「竜脊椎山脈を越えることはできないばかりか、山脈に近づくだけでも、邪気の影響を受けますよ。軽い場合は頭痛に苦しみ、重い場合は正気を失います。ただし…」

「ただし、何？」

「ただし、その人が魔女である場合は別です。魔女だけが地獄の扉を見ることができます。彼女たちは既に悪魔の手下として堕落しているので、当然邪気の影響を受けないのです」そう言いながら、バルロフは裏庭の方をちらりと見た。

「では邪獣は？邪獣なら見たことがあるだろう？」ローランは不機嫌そうに机を叩いた。

「ええと、私は見たことがありません。私も殿下と同様、初めて辺境の地に来ました。王国の中心部の灰色城では、真の邪悪に遭遇する人はほとんどいません」

毎年避難するなんて、こんな場所はどうやって発展するというのか？当初は土地が痩せているだけで、まだ開発の可能性があると思っていたが、今となっては完全な罠だ。

「長歌要塞が邪獣を防げるということは、やつらを殺すこともできる、つまり無敵ではないということだ！ではなぜ辺境町で撃退できないんだ？」

「長歌要塞には巨大な城壁があり、レイン公爵の精鋭部隊も駐屯しています。辺境町のような小さな町とは比べものになりません」バルロフは説明した。「そもそも、辺境町を設立した目的は、要塞に早期警戒を提供することです。だからこそ北山の峰と赤水川の間に設置されたのです」

まるで雑兵のように、敵が必ず通る道に立ちはだかっているわけか、ローランは冷笑した。