「6500万」
スーツを着た若い金持ちが即座に叫んだ。
丁元昌は華夏の最高級の宝石細工師であり、彼の生涯最後の作品は天価に値する。
さらに作品は未完成であり、その不完全な美しさは、市場価値において時として完成したネックレスを遥かに超えることがある。
「6800万」
江城の名高いコレクターの陶元もプレートを上げた。
「7000万」
夏若雪は耳元で絶え間なく響く声を聞きながら、赤い唇を軽く噛んだ。
彼女は悔しかった!
なぜこのタイミングで夏家と決裂してしまったのか!
以前なら、華美グループを売り払ってでも、このスターズティアーを手に入れていただろう。
しかし今は、これを落札するお金など全く持ち合わせていない。
彼女は無意識に葉辰を見つめ、葉辰に助けを求めようと思ったが、9200万という声が耳に入った時、最後の希望も消え去った。
今となっては、葉辰にも落札する資格はない。
葉辰は当然、夏若雪の緊張に気付いていた。彼は立ち上がって言った。「トイレに行ってくる」
「ええ...」夏若雪は落胆した様子で答えた。
間もなく、葉辰は金冷雁を見つけ、無駄話をせずに直接、誰かにスターズティアーを落札させるよう依頼した。
金冷雁は興味深そうだった。彼女は葉辰の身に何らかの修練の跡を見出し、古流武術家だと見抜いていた。
しかし古流武術家がこのような普通のアクセサリーを落札して何をするのだろう?
もしかして女性へのプレゼント?
「では葉様、この携帯電話をお持ちください。これから先、何か落札したいものがあって直接出られない場合は、この電話で私に連絡していただければ、私が代理で入札いたします」と金冷雁は言った。
葉辰は携帯電話を受け取り、この金冷雁に好感を持った。彼女の家族が彼女にこのオークションを任せているのには理由があるようだ。
「それで葉様、現在スターズティアーの入札額は9600万になっていますが、あなたの上限はおいくらでしょうか。1億で頭打ちになると思いますが」と金冷雁は言った。
葉辰は目を細め、少し考えてから真剣に答えた。「直接2億で入札してください。もし誰かが続けて入札するなら、さらに1億上乗せしてください」
この言葉を聞いて、金冷雁はその場で固まった。
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