第54章 大事件発生！

袋が開いた。

楚淑然は血まみれの首を目にした。

思わず数歩後ずさりし、体を震わせ、口を押さえ、その瞬間、瞳には恐怖が満ちていた！

恐れからではなく、袋の中の首の持ち主を知っていたからだ！

姚金谷！

まさか姚金谷だとは！

江南省の武道宗師、姚金谷！

金雲爪の技で江南省の古武道界で名を馳せた男！

1年前、彼女は父と共に雲竹山でこの男を訪ねたことがあった！

その時、父は彼女に、この男はまもなく京城の名家に迎えられ、きっと出世するだろうと告げた！

重要なのは1年前、彼女は実際にこの男が試合で十人の武道の達人を重傷させるのを目撃したことだ！

恐るべき実力！

しかし今、そんな恐ろしい実力を持つ姚金谷が殺され、首を無残にも切り落とされ、葉家の墓石の上に供物として置かれていた！

一体誰が？誰に武道宗師を殺せる実力があるというのか！

そして彼女は姚金谷の目が見開かれているのに気付いた。まるで死の直前に何か極めて恐ろしいものを見たかのように！

死の直前、彼は一体何を見たのか？

この瞬間、楚淑然は精神的な耐性が強かったにもかかわらず、背筋が凍る思いがした！宗師を殺せる存在とは、江城どころか江南省全体の勢力図を変えかねない存在だ！

江城に激変が起ころうとしているのか？

彼女の視線は葉家の墓石に付いた血の痕に向けられた！

血がまだ完全に乾いていない、つまりその人物はまだ遠くに行っていないはずだ！

なぜその人物は姚金谷の首を葉家の墓石の上に置いたのか？

「葉家、姚金谷……、なぜ今日なのか……何か関係があるのかしら……」

楚淑然の目には今までにない真剣さが宿っていた。

突然、彼女の瞳孔が開いた！ほとんどありえない可能性を思いついたのだ！

葉家と姚金谷の唯一の接点は5年前の雲湖山荘での宴会だった！

さらに不気味なことに、その宴会での惨事が起きたのは、5年前の今日だったのだ！

これらを結びつけると、まるで復讐のようだ！

誰かが姚金谷に復讐に来たのだ！5年前の雲湖山荘で滅ぼされた葉家のために！

それだけではない、楚淑然は数日前の陳正国と陳鋒の死のことを思い出した！彼らもまた残虐な死に方をしていた！

誰が彼らを殺したのか、誰も知らない。

ただ二人とも死の直前に何か極めて恐ろしいものを見たようだということだけが分かっている！