第304章 思いがけない贈り物
メイは思いもよらなかった。再び辺境町への帰路に着く時、心が期待に満ちていることを。
赤水川岸の木々は黄色みを帯び始め、向かい風には涼しさが混じっていた。波光を帯びた川の水が足下で渦巻き、時折、散った木の葉が船べりを滑り過ぎていくのが見えた。
前回のような焦りと不安はなく、周りの秋の景色も詩情豊かに感じられた。
「メイ嬢」背後から敬意を込めた声が聞こえた。「あなたが演じられた『魔女の日記』は、本当に王子殿下が直々にお書きになった台本なのですか？」
メイが振り向くと、女優たちが次々と集まってきており、先頭に立つ者が緊張した面持ちで自分を見つめていた。確かスワローという名前だったはずだ。
「あはは、ごめんなさい」船首でアイリンが手を振りながら、笑って大声で言った。「私には彼女たちの質問に答えられなくて、あなたに聞いてもらうしかなかったの」
このバカ……メイは心の中で目を回した。以前なら冷笑を二つ三つ投げかけるだけだったろう。アイリンと長く過ごすうちに、自分の忍耐力が日に日に増していることに気づく。「殿下が私のために書いたのではなく、市庁舎の教育部長であるロール様が魔女のために書かれたものです」
「えっ、そうなんですか？」スワローは瞬きをした。「ベラさんと言い争っていた時、私たち、本当だと思っていました」
「殿下が直々に書かれた」と「殿下が私のために直々に書かれた」では、雲泥の差がある。どうしてこの人たちは前半を後半に聞き間違えたのだろう？「でも台本の執筆と演劇の上演は王子殿下の承認を得ています。だからベラが台本を嘲笑したことは、確かに殿下本人を嘲笑したことと同じです。この点については嘘をついていません」
「王子殿下にお会いになったことがあるんですか？」
「王家の特徴である灰色の長髪で、容姿が非常に端麗だとか、本当ですか？」
「女性関係が派手で、愛人が多いって聞きましたよ！」
「えっ、本当なんですか？」
「……」この活発な性格の少女たちを見て、メイは思わず眉をひそめた。くそ、彼女たちの好奇心に応えるべきではなかった。
「もういいでしょう、メイ嬢のお邪魔をしないで」ロシャが前に出て彼女たちを追い払い、メイに謝るような目つきを向けた。
「構いません」彼女は肩をすくめ、岸辺の景色を眺め続けた。「結局、これは私自身が招いた面倒事ですから」
「私には……よく分かりません」ロシャは頭を掻きながら言った。「なぜあなたは彼女たちを連れて行くのですか？三十五人のうち、舞台に立った経験があるのはたった二人で、二十六人はドラマ教室の全課程さえ終えていません。あなたの以前の言い方では、彼女たちはひな鳥にも及ばず、まだ殻の中で孵化していない状態です……領主様がドラマに対する要求が低くても、これらの人々は受け入れられないでしょう。もしベラさんへの報復がしたいのなら、経験豊富な脇役の女優たちを引き抜くべきでした」
「私は彼女たち全員に演技をさせるつもりはありません」
「えっ？」相手は一瞬その場で固まった。
「彼女たちは台本が読めるでしょう？」メイは微笑んで言った。「舞台に立つまでにはまだ長い道のりがありますが、少なくとも読み書きはできます。気付いていませんか？殿下が今一番必要としているのは、このような人材なのです」彼女は少し間を置いて、「ローラン・ウェンブルトン公が本当にドラマを愛好しているから私たちを呼んで公演させているとお思いですか？」
「それは……」
「ペイロ様なら、答えは間違いなく肯定です。長歌要塞を統治する前から、週に一度は劇場に足を運ぶ習慣がありました。でもローラン殿下の場合、新作の初日以外は辺境町の広場には姿を見せません——つまり、彼がドラマを推進しているのは自身の趣味からではなく、ドラマを通じて民衆に自分の考えを広めようとしているのです」メイは続けて言った。「最初の圧制への抵抗や魔女は邪悪ではないという強調から、『暁の光』や『新たな街』は人口募集や勤労による富の獲得といった目標に近づいています。私はただ殿下の意向に沿って、微力を尽くしているだけです」
「そ、そうだったんですね。私はこんなことまで考えたことがありませんでした……」ロシャは舌を打った。
「台本を読み解く時は、自分を役柄に投影して考えるだけでなく、物語全体が表現しようとしている意味をできる限り理解することも、優れた役者として必要な資質です」
「はい、ご指導ありがとうございます！」彼女は深々と頭を下げた。
「安心して」メイは口角を上げた。「もし演技をやめたくなったら、辺境町でも良い仕事は見つかります。ひょっとすると市庁舎に入って、役人になれるかもしれません。殿下は身分も家柄も問わないのですから、この道は役者になるよりずっと歩みやすいですよ」
……
船が町に到着すると、メイはドックで出迎えているフェリン・シルトの姿をすぐに見つけた。
もちろん、彼はアイリンのために来ているのだ。
少女が駆け寄って彼の腕の中に飛び込むのを見て、彼女は小さくため息をついた。
「あれは払暁の光様じゃありませんか？」
「殿下に流刑を言い渡されなかったんですね」
「西境第一の騎士様よ、いいわね」スワローは羨ましそうに言った。「私てっきり劇場のスターと——」
「何を言っているの」メイの冷たい叱責の声に、皆は即座に口を閉ざした。「早く荷物を持って下船しなさい。ガットとロシャが市庁舎で身分登録をするのに付き添います。その他のことは、彼らの指示に従えばいいわ」
「はい」皆は恭しく答えた。
ドックを降りると、フィリンは妻を連れてやってきて、胸に手を当てて礼を述べた。「メイ嬢、アイリンから劇場での騒動を今聞きました。彼女へのご配慮に感謝いたします」
「お礼を言う必要はありません」メイは気にも留めずに言った。「相手は彼女に難癖をつけているように見えましたが、実際は私を狙っていたのです」
「それでも、感謝申し上げます」騎士は爽やかに笑った。「あなたがいなければ、きっと彼女はその場で泣き出していたでしょう」
二人が去った後、メイは口を尖らせ、一人で荷物を背負って住宅地区へと向かった。
すでにこの感情は手放したはずなのに、この光景を見ると心に何か感慨が残る。そして、あの懐かしい姿も現れず、手紙では驚きを用意していると固く約束していたのに。
まあいい、相手は結局殿下の側近なのだから、払暁の光のように自由に動き回れるわけがないだろう？
家に戻ると、メイは荷物を下ろし、久しぶりの解放感が押し寄せてきた。彼女は長々と息を吐き、キャビネットから白酒を取り出し、一杯飲もうとした時、外からノックの音が聞こえた。
ドアを開けると、外に立っていたのは紛れもなくカーター・ランニスだった。
「まさか三十分も早く着くとは思わなかった」彼は額の汗を拭った。「長歌要塞からの船が到着したと聞いて、軍営から駆けつけたんだ」
なぜだろう、ドックで彼を見かけなかったのに、迎えに来てくれなかったのに、彼の姿を見た途端、メイの心は瞬時に明るくなった。「一杯どう？」
「いや、午後にまだ任務があるから」カーターは手を振った。
「そうね」彼女は頷いた。「殿下の命令の方が大切よね」
「君にプレゼントを渡しに来たんだ」首席騎士はポケットから白い木製の小箱を取り出して彼女に差し出した。
「これは露店市場の最新商品？」メイは好奇心を持って木箱を受け取り、蓋を開けると、黄金色に輝く指輪が箱の底に静かに立っていた。その頂には透明な宝石が嵌め込まれており、窓から差し込む秋の陽光に照らされて七色の光を放っていた。
間違いなく、この指輪は高価なもので、露店市場の商品であるはずがない。そして貴族が指輪を贈るということは……彼女は思わず口を手で覆った。
「メイ嬢、私と結婚してくれませんか？」カーターは真剣に尋ねた。