第99章 奈何橋の柳家

柳若旦那が振り向き、冷たい目で秦玉を一瞥した。

その時、秦玉も彼を見つめていた。

視線が交差し、秦玉は眉をひそめた。

「こいつ、確かに目が利くな」秦玉は深いため息をついた。

今日は掘り出し物を見つけるのは、ほぼ不可能だろう。

秦玉はそれ以上考えるのを止め、手を挙げて叫んだ。「二億」

その言葉に、会場の人々は一斉に息を飲んだ！

「二億で野草を買うのか？」

「こいつ、気が狂ったのか。見たことのない金持ちの坊ちゃんだな」

これらの人々は皆裕福ではあったが、二億という金額は彼らにとっても決して小さな額ではなかった。

それに、金持ちほどお金に敏感で、使うなら価値のあるものに使いたいものだ。

「二億五千万」その時、前列の柳若旦那が札を上げた。

人々はさらに驚愕した！

また値上げする者が現れたのか？

「三億」秦玉は冷たい表情で言った。

この何首烏は、秦玉にとって絶対に手に入れなければならないものだった。

前列の柳若旦那は不機嫌な顔をして、振り返って一瞥した後、大声で叫んだ。「五億！」

その言葉に、会場中が驚愕した！

秦玉の表情さえも曇った！

いきなり五億とは、そんな大金を出せる者がいるとは想像もできない！

秦玉は手持ちが二十億しかなく、しかもそれは借金だった。一株の何首烏に五億を使うのは、確かに適切ではない。

一瞬、秦玉は考え込んでしまった。

「六億！」顔若雪が叫んだ。

秦玉は驚いて顔若雪を見つめ、首を振って言った。「顔お嬢さん、今回は絶対にお金を使わせるわけにはいきません。高すぎます！」

顔若雪は目を瞬かせ、笑って言った。「大丈夫よ、誰のお金を使っても同じことよ」

秦玉は何も言えなくなった。顔家が裕福だとしても、秦玉は申し訳なく感じた。

「八億！」前列の柳若旦那が怒鳴った！

顔若雪は軽く鼻を鳴らし、言った。「十億！」

「はっ...」

会場全体が、この二人に注目した！

一株の何首烏が十億まで値が上がるとは、おそらく南城のオークションの記録を更新したことだろう！

顔若雪は秦玉の顔を見つめ、微笑みを浮かべた。

「もうすぐ去らなければならない。最後のプレゼントとして」顔若雪は心の中でそう思った。

価格が十億まで上がった時、前列の柳若旦那はようやく黙り込んだ。

「やっと諦めたか」秦玉は眉をひそめて言った。