第80章 沈天の悪巧み

莽兄さんは眉を上げて言った。「そうじゃないか？冗談だと思ったのか？」

近くにいた高婷婷も急いで叫んだ。「そう、やっつけて！あの人が指図したんです！」

莽兄さんは軽く鼻を鳴らし、秦玉を指差して言った。「リングで待ってるぜ」

その言葉を残し、莽兄さんは踵を返してリングへと向かった。

「必要ない」その時、秦玉は淡々と言った。

「数分で済む話だ。リングに上がる必要もない。面倒くさい」と秦玉は言った。

秦玉の言う通り、内勁五段の高手には、秦玉と戦う資格など全くなかった。

しかし莽兄さんの耳には、それが秦玉の降参と聞こえた。

振り返って笑いながら言った。「なるほど、自分のことをよく分かってるようだな。いいだろう、お前の言う通りにしてやる」

そして、莽兄さんは素早く秦玉の前まで歩み寄り、拳を握りしめながら冷笑して言った。「今日は俺が...」

「バン！」

莽兄さんの言葉が終わらないうちに、秦玉は突然手を上げ、「パン」と一発、莽兄さんの顔を平手打ちした！

莽兄さんが反応する間もなく、体ごと十数メートル吹き飛ばされた。

顔の半分の骨が砕け散り、地面に倒れたまま二度と立ち上がることはなかった。

現場は水を打ったように静まり返った。

誰もこの光景を信じることができなかった。

何が起きたのかさえ、彼らには分からなかった。

「こ...これで終わり？」李岩は唾を飲み込みながら、驚愕の表情で秦玉を見つめた。

秦玉は何でもないことのように、平然としていた。

「行こう」秦玉は李岩たちを見て、大股で出口へ向かった。

今度は誰一人として秦玉を止める者はなく、全員おとなしく脇へ退いた。

この莽兄さんは地下格闘場のナンバーワンファイターだったが、秦玉の前では反撃の機会すら与えられなかった。誰が彼を止める勇気があるだろうか？

一行は堂々と地下格闘場を後にした。

外に出てから、李岩は興奮を抑えきれずに言った。「秦さん、まさかこんなに腕が立つとは！本当に信じられません！」

秦玉は微笑んだだけで、何も言わなかった。

この地下格闘場は所詮、大衆の娯楽に過ぎない。本物の高手は、こんな場所には来ないのだ。

こんなことがあった後では、誰も遊ぶ気分ではなくなり、そのまま解散した。

その夜、秦玉は早めに休み、翌日江城に戻る予定だった。

その時。