232 ブルースター戦争！
ブルースターの四つの大陸では、六カ国が南西北の三州を占領し、中央のアンディアは古代の主戦場であり、汚染が深刻で、環境が荒廃し、放射線が空気に満ち、砂漠化が進み、見捨てられた不毛の地となっていた。萌芽がここを占領し、本拠地として作り変えた。
半年前、韓瀟が萌芽の情報を売り渡し、六カ国を震撼させ、萌芽が長年かけて築いた分基地が全て壊滅し、大打撃を受けた。これまで萌芽はこれらの「楔」によって六カ国を牽制してきたが、その脅威が取り除かれ、六カ国は躊躇することなく、ついに秋の決算の時を迎えた。
遠征の幕が切って落とされた。
戦争は言うが早いが、特に戦争の規模が全世界を巻き込むものとなれば、軍事力の動員、物資の集結など、全てが整ってから初めて戦火を交えることができる。
数ヶ月の準備期間を経て、ついに星海暦688年9月16日に正式な出征となった。
十数個の大規模海軍艦隊が同時に各軍事港から出発し、空母を中核として、無数の護衛艦、駆逐艦を配備し、数千人の兵士を搭載して、壮大な様相を呈し、まさに圧倒的な態勢であった。
六カ国は戦略配置について協議し、連合作戦を展開し、海軍総指揮官は瑞岚出身の一流軍人リンリンが務めることとなった。純粋な軍人で、政治的傾向がなく、豊富な経験と慎重な作風を持ち、六カ国の最高層部が選考の末、全会一致で推薦した指揮官である。リンリンは海軍艦隊を指揮し、各方面からアンディアを攻撃し、全面侵攻を開始した。
萌芽は海岸線に沿って方位措置と軍事力を配置し、同様に艦隊と空軍を派遣して、制海権を守ろうとした。
第一波の交戦はミサイルによるものだった。
萌芽が先手を打ち、長距離ミサイルを発射して、視界外から六カ国海軍を壊滅させようとしたが、高空で空母に装備された対ミサイル迎撃追跡弾アレイによって撃墜された。空母編隊も同様にアンディア大陸にミサイルを発射したが、萌芽は陸上の対ミサイル装置によって一難を逃れた。
ミサイルの撃ち合いでは双方とも決着がつかず、戦局の行方は接触戦の結果にかかっていた。
艦隊はアンディア海域で激しい戦闘を展開し、蒼い海上で戦火が燃え上がった。両軍が交戦し、艦隊が入り乱れて戦い、連装砲台から十数メートルの火炎が噴き出し、閃光が目を焼き、濃い煙が立ち込め、爆発が次々と艦船を襲い、いつでも船が沈没する可能性があった。
大規模戦場の主役は様々な戦争兵器だが、超能者の役割も無視できない。対策を講じなければ、強大な超能者一人で一隻の船の兵士全員を殺戮し、単独で内部から戦艦を破壊することができる。様々な奇妙な異能力が戦場で暴れまわり、超能者の存在が戦局に変数をもたらした。幸いなことに萌芽の執行官は強力で、六カ国の超能者も負けてはおらず、双方に損害を与えながら互いに牽制し合っていた。
大戦のメインストーリーが韓瀟によって前倒しされたため、各陣営の遠征ミッションに参加したプレイヤーたちは傍観するしかなく、海戦にはほとんど介入の余地がなかった。
前世では、プレイヤーたちはすでに熱狂的に突っ込んでいったが、今回のプレイヤーの戦局への影響力は、韓瀟によって最小限に抑えられていた。
レベルが低すぎて、突っ込めば砲弾の餌食になるだけだった。
萌芽側の海軍指揮官ダロスはかつてある滅亡国家の上級海戦軍人で、彼の率いる萌芽艦隊は狼のように凶暴だったが、六カ国は進退自在で、まるで萌芽の配置を熟知しているかのようで、交戦後すぐに萌芽艦隊に甚大な損害を与えた。
南部戦場では、星龍の【スターポラリス】、【ゲームドラゴン】艦隊が陣形を引き裂き、海夏の【サンバースト】、【エアハンター】、【スピアヘッド】艦隊が一気に突入し、萌芽の艦隊補給を行う島の港を破壊した。他の四カ国もそれぞれの戦場で独自の戦術を展開していた。
韓瀟が開戦前に星龍に提供した萌芽本部の資料により、六カ国は情報優位を得ていた。
彼らが戦場で先機を制したのは、韓瀟の情報提供のおかげであり、各国上層部はこの点を忘れていなかった。
ダロスの旗艦は海戦で撃沈され、砲弾によって粉々になり、副指揮官アンサスが緊急に指揮権を引き継いだ。
六カ国海軍の包囲攻撃に直面し、アンサスは孤軍奮闘したが、わずか三日で大部分の海域を失い、最後には賢明にも制海権の争いを放棄し、六カ国艦隊の鋭い攻撃を避けて、部隊を大陸に撤退させて防衛に回り、萌芽はアンディアのホームフィールドの利点を活かして、六カ国に対抗する準備を整えた。
制海権を獲得した六カ国は周辺海域を封鎖し、虎視眈々と狙いを定め、各艦隊がアンディア大陸を取り囲んで二十四時間稼働の大出力ソナーを配置し、潜水艦の奇襲や逃走を防止し、まるで天羅地網を張り巡らせたかのように、アンディア大陸全体が袋の鼠となり、萌芽の退路を断ち切った形となった。
空母は移動式の空軍基地となり、萌芽の制空権に挑戦を仕掛け、至る所を爆撃し、同時に萌芽の空軍部隊とも激しい戦闘を繰り広げた。核爆弾の投下は最後の手段であり、やむを得ない場合以外は使用しない。
輸送船が地上部隊を海岸線に送り込み、六カ国地上部隊がついにアンディアの地を踏み、上陸作戦が激しく展開された。
地上戦の結果が戦争の行方を左右する可能性があり、韓瀟の情報によれば、対ミサイル軍事基地を破壊さえすれば、空母のミサイルの殺傷力を解放でき、一気に戦局を決定づけ、萌芽を壊滅させることができる。
萌芽は退路を失い、重重の包囲に直面し、時間を引き延ばしても領地を次々と攻略されるだけで、袋の鼠となって死路に追い込まれる。萌芽が局面を打開したいのなら、他の行動を模索するしかなく、六カ国の指揮官は萌芽が密かに他の戦略的意図を持っているはずだと考え、双方がお互いの底札を探り合っていた。
誰の目にも萌芽が大きく不利な状況にあることは明らかで、六カ国内部では何度も戦況分析会議が開かれ、萌芽にはほとんど勝算がないという見方で一致し、唯一注意すべきは韓瀟が明かしたデッドハンドシステムの情報で、萌芽が追い詰められて暴発する事態を防がなければならなかった。
核の脅威を解除するため、六カ国はスパイ部隊を派遣し、韓瀟の情報に基づいて核兵器を制御する各軍事基地に潜入を試みた。全て秘密裏の行動だった。
……
地下の防爆工事がなされた萌芽本部で、リーダーは戦況報告を聞いていた。
萌芽上層部は暗雲低迷の様相を呈し、開戦早々、状況は彼らに不利な方向へと止まることなく傾いていった。確かに、固定力の面で萌芽は六カ国の連合攻撃に耐えられるはずもなかったが、幸いなことに、彼らにはまだ様々なプランの産物が奇襲部隊として使え、地上戦では効果を発揮するはずだった。
前世では、六カ国と萌芽が開戦した時、状況は拮抗していて、各大陸の分基地を利用して、萌芽は六カ国の注意を分散させ、正面戦場での軍事力はほぼ互角だった。
しかし今は、萌芽は韓瀟によって大打撃を受け、勝利の天秤は取り返しのつかない勢いで六カ国に傾いているようで、状況は前世とは全く異なっていた。
全ては韓瀟というチョウがもたらした影響だった！
誰もこの戦いをどう勝ち抜けばいいのか分からなかったが、リーダーの冷静さは、皆に彼に策があると思わせた。
「ホームポート、レイアポート、テムファポート……十三の港が全て失陥し、六カ国は絶え間なく地上部隊を上陸させている。北ではティリウスと瑞岚がサンセットベース、ブラックツリーベースに攻撃を仕掛けており、もしこの二つの基地が陥落すれば、我々はミサイル発射施設の一部を失うことになる。他の四カ国も着実に前進し、バクとムカイサンの防衛部隊を撃破して、重要基地に向かって進軍している。敵の目標は明確で、我々の各種ミサイルと対ミサイル基地を破壊することだ。彼らは基地の詳細な用途まで知っているようで、間違いなく我々の重要な情報を掴んでいる……」軍人は額に汗を浮かべながら報告を続けた。
「ゼロの仕業だ」リーダーの声は波風一つない、恐ろしいほど平静で、彼はすでにこれに慣れていた。
この結果は、韓瀟が「予知」異能力を持っているという彼の推測をさらに裏付けるものとなった。ゼロが一日でも生きている限り、永遠に組織の心腹の大患となるだろう。情報は十分な力がある場合にのみ有用だが、不運なことに、ゼロは六カ国の間を立ち回り、他人の刀を借りて人を殺そうとしていた。
しかし萌芽はこれに対して為す術がなく、ゼロは東西に逃げ回るネズミのようだった。願わくば「運命の子」の今回の予言が成功し、ゼロが本部に自ら罠にかかってくれることを。リーダーは本部周辺に無数の兵力を配置しており、一声で千里に及ぶ巨大な包囲網を形成できる状態だった。
ゼロを捕らえるためなら、どれほど大げさでも過ぎることはない。
ゼロ自身の実力は、中の上程度に過ぎず、おそらく仲間を連れて来るだろうが、この規模の包囲網の下では、リーダーは韓瀟が何人連れて来ようと、全て死路に追い込めると確信していた。
ゼロが予知能力を持っているため、彼の罠に気付くのではないかという点について、リーダーは実験を行った。彼は軍隊の配置を乱したが、六カ国がこれらの変化を把握していないことを発見し、韓瀟の「予知」には制限があり、少なくとも全知全能ではないことを見抜いた。リーダーは「運命の子」を信じるしかなかった。
受け身の立場として、彼には選択の余地が多くなく、ただ来訪を待つしかなかった。
「ゼロを倒せば、我々に勝算がある」
リーダーは手袋をはめた拳で、軽く机を叩きながら、マスクの下から冷たい声を発した。