第318章 顔若雪との出会い

「ありがとう」秦玉は丁寧に言った。

ボディーガードはそれ以上何も言わず、一人が振り返って顔家荘園の中へ入っていった。

別荘の中で、顔若雪は窓際に座り、手に一枚の書類を読んでいた。

会社の運営状況について、顔若雪はいつも熱心で、顔お爺さんも彼女を意図的に育成していた。

そのとき、外からノックの音が聞こえた。

「どうぞ」顔若雪は顔も上げずに言った。

ドアがゆっくりと開き、顔家の執事が外に立っているのが見えた。

「お嬢様、秦玉という方がお会いしたいとおっしゃっています」執事は腰を曲げて言った。

その名前を聞いて、顔若雪の表情は明らかに一瞬呆然となった。

彼女は急いで執事を見て、「何て名前？」と聞いた。

「秦玉です」執事は続けて言った。

顔若雪は慌てて手の書類を投げ出し、階下へと走り出した。

彼女は、秦玉が京都まで彼女を探しに来るとは全く予想していなかった！

さらに、秦玉が訪問する勇気があるとは！

顔家荘園は非常に広く、別荘から門まで車で行く必要があった。

赤いスポーツカーが、荘園内を疾走していった。

すぐに、急ブレーキの音が秦玉の耳に届いた。

秦玉は顔を上げ、門の方向をじっと見つめた。

彼の心は非常に興奮し、心臓が飛び出しそうだった。

門がゆっくりと開き、そして美しい姿の少女が門の所に現れた。

彼女の黒髪は肩まで流れ、赤らんだ杏のような小さな顔、舞い降りた鳳凰のような姿は、秦玉の心を揺さぶった。

きょろきょろと見回す瞳は、すぐに秦玉の姿を見つけた。

顔若雪の顔に、すぐに笑顔が溢れ、彼女は急いで秦玉の前まで歩み寄り、目の前で起こっていることが現実とは信じられないようだった。

「こんなに早く来たの？」顔若雪はつま先立ちになって、秦玉の頭を軽く叩いた。

秦玉は気持ちを落ち着かせ、興奮を抑えながら笑って言った。「もう待ちきれなかったんだ」

顔若雪は優しく笑って言った。「あなたの活躍は聞いていたわ。楚州王、すごいじゃない」

秦玉は感慨深げになった。顔若雪が自分の一挙一動を見守っていたとは思わなかった。

「若雪、会いたかった」秦玉は興奮を抑えきれず、白昼堂々と、大胆にも顔若雪を抱きしめた。

ここは顔家荘園の正門で、一挙手一投足が顔家の監視下にあった。

そんな状況の中で、秦玉は顔若雪を抱きしめたのだ。