葉辰は当然電話の内容を聞いており、頷いて言った。「よし、じゃあ一緒に南秦山荘に行こう」
彼女が行きたいなら、行けばいい。
……
江南省華正五つ星ホテル、最上階の特別スイートルーム。
江剣鋒は一面窓の前に立ち、目を細めて江南省の景色を眺めていた。
彼の背後には一人の男が跪き、江南省の出来事について報告していた。
江南の景色は京城と比べると、美しく優雅ではあるものの、ある種の気韻が欠けていた。
江剣鋒は振り返り、淡々と言った。「つまり、あの落とし種は死に近いということか?」
地面に跪いた男は頷いて言った。「江様、秦家は恐れるに足りませんが、崑崙山から来たその強者は、そう簡単な相手ではありません」
「今日、空港で一目見ましたが、相手は手を出さなかったものの、その身から漲る気配を感じ取れました!非常に強い!葉辰に羅刹がいても、生き残る可能性はありません!」
江剣鋒は口角に微かな笑みを浮かべた。「数日前も同じようなことを言っていたな。だがあの落とし種は今も元気でいるではないか?」
男は一瞬戸惑い、顔色を変えたが、それでも言った。「前回は落とし種の底を完全に探り切れていなかったためです。今はほぼ把握できました。それに、私の方に情報が入ってきました。あの落とし種は今、鳴翠別荘を離れて南秦山荘に向かっているとのことです!」
江剣鋒は頷き、ソファに座って、手の中に二つの霊石を握っていた。
霊石が回転し、ホテルの部屋全体に強い霊気が溢れ出した。
しばらくして、彼は口を開いた。「お前も南秦山荘に向かえ。もしあの落とし種が死んでいれば、それは運命だろう。もし運良く生き残っていたら、直接私の前に連れて来い!」
「凡骨の無能が、どうやってここまで来たのか、見てみたいものだ!」
「はい、江様!」
……
南秦山荘。
客で溢れかえっていた。
ほとんどの人々は崑崙山宗師の姿を一目見ようとやって来たのだが、さらに重要なことに、今日あの殺戮者も南秦山荘に来る可能性が高いことを、皆が心の中で分かっていた。
「もしあの殺戮者葉辰が来たら、勝算はどのくらいあるだろうか?」
「一分くらいだと思う。葉辰の実力からすれば、秦家は対抗できないかもしれないが、崑崙山の強者が加われば本当にどうなるか分からない」
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