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第258章 古来無双の者!(5更!)

夏若雪は秦正陽のこの言葉を聞いて、瞳が少し縮んだ。

その言葉から、彼女は二つのことを知った。

一つ目は、秦家がついに崑崙山から戻ってくるということ!

二つ目は、あの崑崙山の高人が秦家に招かれて一緒に来るということ。

「くそっ!」

彼女の瞳には怒りと動揺が浮かんでいた。

秦家が今回戻ってきて、もしあの高人が噂通りの実力者なら、江南省全体が大きく変わることになる!

さらに重要なのは、自分の婚約を抵抗できなくなることだ!

彼女は真っ先に葉辰のことを思い浮かべた。

この状況で、葉辰に何か打開策はあるのだろうか?

葉辰は唐傲を倒せたということは、少なくとも武術の実力は弱くないということだ!

問題は葉辰には自分の勢力がないということだ!

天正グループはせいぜい一企業で、金を稼ぐ道具に過ぎない。

秦家のような多くの強者と比べるなど、到底無理な話だ!

しかも今回は秦家の背後に崑崙山の強者までいるのだ。

夏若雪はこれほど焦りを感じたことがなかった。必死に冷静さを取り戻そうとしたが、それは不可能だった。

階下から葉辰の催促の声が聞こえてきた。

夏若雪は赤い唇を軽く噛み、スーツケースを開けて中から御守りを取り出し、階下の葉辰のもとへ向かった。

「これ、あなたのために特別にお願いして作ってもらったの」夏若雪は心の中の暗い影を払いのけ、何事もないかのように装った。

葉辰は一瞬驚き、その御守りを見つめながら、口元に笑みを浮かべた。

瞳には優しさが満ちていた。

今の彼の実力では、御守りなど必要ないのだ。

しかも、この御守りには霊気も功徳の光も一切なく、大した効果はない。

とはいえ、葉辰はそれを指摘せず、御守りを身につけた。

「若雪、これが君の言ってた土産?最近の土産って、こんなに心のこもったものなんだね?」葉辰は笑いながら言った。

夏若雪は少し上の空で「身につけてくれれば十分よ。似合ってるわ。私、ちょっと用事があるから出かけてくるわ」と言った。

夏若雪が立ち去ろうとした時、葉辰は手を伸ばし、彼女の白い手を掴んだ。

軽く引き寄せると。

夏若雪は葉辰の胸に倒れ込んだ。

「何か隠していることがあるように見えるけど?」

夏若雪は激しく首を振ったが、その目の動揺は葉辰を騙せなかった。

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