最強大物 悪役モブに転生
悠乃(ゆの)は生前、国家のために生涯を捧げ、数々の功績を成し遂げた。
死んだはずが、不意に「家族溺愛小説」の世界に転生し、同名の悪役モブキャラになってしまった。しかも、その末路は凄惨極まりない。
完結まで生き残るには、輝くヒロインから距離を置くしかない。
ところが予想外の展開に——
いつもヒロインばかり見ていた父や兄たちが、一斉に彼女の方を向いたのだ。
父「わが娘、実に立派だ!さすが俺の血を引く娘だ」
社長の長兄「欲しいものがあれば、何でも兄に言え」
人気俳優の次兄「ライブがあるんだが、妹がゲスト出演するのはどうだ?」
勉強嫌いの三兄「今後誰かが君を虐げたら、すぐに三兄に言え。兄が殴り返してやる!」
悠乃「結構です。私は自分で何とかします」
以降、彼女が何をしようとも、父と兄たちは一様に感嘆して叫ぶ。
「悠乃、すごい!本当にすごいよ!」
悠乃はため息をつき、冷めた声を漏らす。
「……うるさい、みんなどっか行って」
十八の武芸を披露したその日、各界の大物が続々と詰めかけた。
「大御所様、どうかご指南を!」
悠乃は穏やかに微笑む。
「手伝ってほしいなら、一列に並んで待ちなさい」
ある大物が彼女をそっと腕に抱き、甘やかすように笑う。
「悪いね、甘やかしすぎて手に負えなくなって。お恥ずかしい」
悠乃「…………」
江口家の三男は、無骨で女性に一切興味がないと噂されていた。
だがある日、彼が評判の松本令嬢と連れ立って歩く姿が目撃された。
巷のうわさ好きたち「まさか本当なの!?」
江口三男は冷ややかに断言する。
「疑うな。見た通りだ。彼女は俺の命だ。離したくない」
あーりーお兄さん · Urban